2019/6/6のニュースウォッチ9の報道で、日本美容外科学会(JSAS)に寄せられた医療トラブルの相談が、相談者の同意をえずに施術したクリニックに筒抜けになっていたという実態があきらかになりました。
美容医療ではリスクは切り離せないものですが、トラブルが起きた際の相談窓口の情報管理がずさんであったという事実は消費者としては怖いですね。
今回は、報道の概要、どのような経緯で情報がもれていたのか、日本美容外科学会の対応、ほかに相談できる窓口を紹介したいと思います。
日本美容外科学会とは
日本美容外科学会(JAPAN SOCIETY OF AESTHETIC SURGERY)は、美容外科に関する研究並びに科学的知識および技術の普及発達と、美容外科の学術上の地位の確立を図り、併せて会員相互の向上・発展を求めることを目的に結成された学会です。
日本の医師免許を持ち、会員の推薦を受けた有志医師により会員が構成されています。
医道に則り、美容外科を通じて皆様の健康と幸福の増進に貢献するために活動しております。
引用元:日本美容外科学会公式HP
日本美容外科学会の公式ホームページによると、1967年2月に設立された古くからある団体で、美容医療の技術・知識の共有と地位向上を目的としているようですね。
会員一覧の医師名簿を見ても、多くの美容クリニックの医師が入会しているようで、聞いたことがあるような有名クリニックの名前はまず見かけます。
2019年現在の理事の構成は以下になります。
理事一覧
※2019年3月21日の情報です。
副理事:森上 和樹 (城本クリニック)
理 事:高田 章好 (大阪大学)
平田 修人 (名古屋美容外科)
鎌倉 達郎 (聖心美容クリニック)
相川 佳之 (湘南美容クリニック)
倉田 荘太郎 (くらた医院)
田中 亜希子 (あきこクリニック)
監 事:酒井 直彦 (銀座S美容・形成外科クリニック)
2013年から日本美容外科学会のホームページではセカンドオピニオン室という、美容医療を受けた患者の方の相談窓口を開設し、美容医療に精通した相談員や会員医師が疑問や相談に答える無料相談もおこなっています。
今回の報道の概要
豊胸手術後に感染症にかかってしまった女性が施術担当の医師に相談。
しかし、クリニックの回答では感染症にかかってしまった注入物を取り除くことは不可能とのこと。
施術後の対応に不安に感じた女性は、国民消費者センターに相談。
国民消費者センターから日本美容外科学会を紹介してもらいメール相談をしたところ、担当医師から学会への相談を控えるよう求める電話連絡があった。
なぜ情報がクリニックに漏れていたのか
JSASによると、相談は年間約100件あり、内容は施術後の痛みなど健康上の問題や医師の態度、料金に対する苦情など。相談が届くと、事務局は氏名と住所を除いて数人の理事に転送。理事はクリニックへの指導が必要と判断した場合、患者の同意を得ずにクリニック側に相談内容を伝えていた。また、施術したクリニックの医師が理事として相談を閲覧するケースもあった。
引用元:朝日新聞DIGITAL 健康被害の相談、学会が医療機関に伝達 患者の同意得ず
日本美容外科学会のweb相談窓口は、
の入力が必須でした。
そして、相談を受けた事務局は相談内容から、氏名と住所を除いた情報を理事に送信。
場合によっては、理事が担当医師に対して改善指導もおこなっていたとのこと。
(上記の理事が当時も就任していたのかは不明。)
氏名と住所を伏せていたとのことですが、相談内容や、施術内容、性別・年齢がわかっていれば担当医師には相談者を特定できてしまいますよね。
ニュースウォッチ9で流されていた電話音声では、「今後クリニックで対応していくことが決まったことですし、これからは(学会では無く)私に連絡してほしい。」といった旨の担当医師の発言がありましたが、理事(自身の勤める病院のトップ)に指導されるような状況は不都合だったのだと思われます。
学会が指導をしていたという点は評価できますが、すべての情報が筒抜けでは相談先とクリニックが独立していないようにも捉えられます。
独立していないとクリニックに有利な対応をされてしまうのでは無いか心配ですし、なにより相談したことがバレてしまってはおいそれと相談できなくなってしまいますよね。
日本美容外科学会の対応
2018年夏頃に相談した情報が漏れているとの苦情があり、2018年11月には理事からの会員への注意・指導は取りやめたとのことです。
そして、個人を特定できないようにセカンドオピニオン室相談窓口の相談フォームの入力項目も変更。
相談内容、氏名またはニックネーム、メールアドレスのみで相談可能となりました。
今後、個人情報のさらなる保護と安心して相談できるよう努めたいとのことです。
消費者もリスクを把握しトラブルがおきた際の心構えを
美容医療では体に変化をおこらせる以上、思った結果にならなかった、炎症をおこしてしまった、副作用がでてしまったなど、トラブルは起こりえます。
今回のニュースの発端となった被害者の女性は、国民生活センターに相談し、担当医師との電話内容も録音し、しっかりと対応をされたと思います。
美容医療を利用する以上、万が一の自体も想定し、トラブルが起きた際の心構えをしておかなければいけませんね。
最後に、美容医療でのトラブルの際に、ほかに相談できる窓口もリスト化しておきます。